第9章 ××はいつも1つ。
その時、首もとにかかる腕と唇に触れる柔らかな感触。
突然のことに目を開く。
「.....あ、目開けちゃいましたね?もぅ。」
くのえさんとキスをしていた。
「受け取ってくれてありがとうございます。私のファーストキス。...安室さんでよかった。」
そう笑うと彼女は知佳くんと共に車を出る。
その後を追うように俺も車を出る。
「知佳くん。もう目、開けていいよ。......お久しぶりです。目暮警部。」
「..... 結城 くのえくん。一緒にいる少年は如月知佳くんだね。」
「はい。....知佳くん、おじさんの方に行って。」
「なんで?お姉さんも一緒に行くんだよね?」
「....私は行けないよ。悪いことしちゃったから。」
「お姉さん悪いことなんかしてないよ。」
「知佳くんのお母さんとお父さんに黙って知佳くんを連れてきちゃったでしょ。ソレっていけないことなんだよ。」
「.........僕が連れてってって言ったんだよ!お姉さんは悪くないよ!!だって、お姉さんは僕を叩かないし、重たいお酒買いに行かせたりしないし、うるさいって灰皿投げたりしないし、ご飯だって三食全部作ってくれて、毎日お風呂に入れてくれて、遊びにだって連れてってくれるし、それから、僕のこと好きって言ってくれるもん!!おじさんが悪いんだー!お姉さんをいじめるな!!」
「落ち着くんだ!」
白鳥刑事が知佳くんをなだめようと肩を掴む。
「はーなーせー!だって。お姉さんが.... くのえお姉さん!」
「.....如月知佳くん!」
目暮警部が如月知佳くんに大きな声で声をかける。