第7章 幸せの対義語は×××
くのえside
翠くん。事件の切り抜きなんかまだ持ってたんだ。
とっくに捨てたものだと思ってた。
普通の家なら家族とテレビを見ている時、ベッドシーンなんかが映れば気まずくもなるんだろうけど、この家では殺人事件や監禁事件なんかのニュースが流れると少しだけ気まずくなる。
「.........アタマ、イタイ。」
どうして気まずくなるんだろう。
まぁ、いいか。
別に好き好んで殺人事件や監禁事件の話がしたい訳でもないし。
少し時間がかかってしまったが私は脱衣所を後にした。
「 くのえー!ただいまー!」
脱衣所を出ると 翠くんがわたしに駆け寄る。
「え、 翠くん?帰ってくるの明後日じゃなかったの?」
翠くんが帰ってくるのは明後日と聞いていた。
予定よりも2日も早い帰宅。
翠くんと早く会えるは嬉しいけど、今の私としてはあまり喜ばしいことではない。
「なんか、サークルの先生のミスでね。こっちの予定も狂っちゃって。」
「...今日ね、友達が泊まりにきてるから。」
「知ってる。さっき、知らない男が家にいたから驚いたんだ。」
「...ごめんね。伝えておけばよかったね。....今日はもうこんな時間だし泊まってもらっていいよね?」
「それは別にいいけど..。」
「よかった。はい!じゃあ今度は 翠くんお風呂どうぞ。後でバスタオル持っていくね。」