第7章 幸せの対義語は×××
安室side
くのえさんはドライヤーを部屋に忘れたのを思い出して取りに来たところだったらしい。
自分の部屋からドライヤーを持ち出すとまた脱衣所へ戻っていった。
「....あの新聞の切り抜きには何が書かれていたんだい?」
「..10年前におこった殺人事件の新聞だったよ。途中で取り上げられたから詳しくはわからないけど....。」
10年前の殺人事件。
.....この情報だけでは探すのに時間がかかりそうだな。
しかし、なんだってそんな事件の切り抜きを美大生が持っているんだ?
例えば、犯罪を研究するサークルに入っているとか、美大生な訳だしその記事を見てインスピレーションを感じただとか、例えばその事件に関係していただとか。
....わからない。
「ただいまー。」
玄関のドアが開く音がして、だれか男の声が聞こえた。
....ただいまという発言からして、兄の 翠だと思うが...不味くないか?!
大学生の兄が居ない間に高校生の女の子に会いに来たアラサー男。
文面にすると犯罪の香りしかしない。
「....誰、ですか?」
そんなことを考えている間に くのえさんのお兄さんと鉢合わせする形になってしまった。
優しい顔立ちの好青年という雰囲気の彼にジロリと睨まれる。
わかるさ、俺が君と同じ立場でも同じ反応をするさ。
「........初めまして。」
「....わー! くのえ姉ちゃんのお兄さん?はじめまして!僕、江戸川コナンです! くのえ姉ちゃんの友達の蘭姉ちゃんの家でお世話になってるんだ!...蘭姉ちゃん今日家にいなくて、それでね泊めてもらってるんだー。えへへ。」
「.... くのえの友達....の親戚とか??....そっちのお兄さんは?」
「....安室さん!僕のお友達!! くのえ姉ちゃんとも仲良しなんだよね!」
「あぁ、そうなんですよ。ははは。」
コナン君の猫被りに助けられたな。
「..... くのえの友達ならそれでいい。... くのえは?」
「... くのえさんなら、浴室に。」
「......... くのえに変なことしてないですよね?」
「してないですよ!」