八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第5章 ページ5、喧嘩
その時になって、気付いた。
私が言おうとしている考えは
ケイトにとってはまだ未知のもので、まだ飲み込むまでは時間がかかるのだということを。
冷静になって考えてみると
ケイトに押しつけだと言われるのも、当たり前だった。
その考えが根付くことなく、知る由もなく育ってきた。
どのような時、どのようなことをされて、何を思ったのか…
その詳細を、私は知らない。
大方の流れしか教えてもらっていない。
そのまま、いつしか押し付けていた。
それが正しいのだと、そうすれば…
きっと…幸せになれるのだと。
本当の意味で、心から笑える日が少しでも近付くのだと……
それが正しいのだと
その方法が正しいのだと信じて疑わなかった。
心が整理されるまで、待つこともないまま。
フエゴレオン「…
(「余計なお世話だ」と言われるのも当然だ。
逆に…幸せにするどころか、追い詰めてしまった」ぎり
歯がゆく思った。
本人が気付いて欲しい時に、気付けなかった。
自分が、一番考えている気になっていた。
いつしか…待つよりも、先走ってしまっていた。
自分がしでかしたことに
ケイトへ与えてしまった恐怖や悔恨に、後悔を憶えた。
フエゴレオン「…すまない」
きっと…
父上もそれを解っていたから、あぁいったのだろう。
それでいいのかと、考える期間を与えた。
それでも…
震えるケイトを目前にするまで、気付けなかった自分に
私は苛立ちを覚えた。