八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第5章 ページ5、喧嘩
ケイト「!!」
その突然の叫びに
ケイトは驚きのあまり、体をびくつかせていた。
おそらく、ケイトの父親が当たり散らしていた時も叫ばれたのだろう。
そのような過去があったからこそ
男性に対して、苦手意識があるのも知っている。
だが…
今は、そんなことを言っている場合じゃないと思った。
フエゴレオン「ぎり)お前は…
自分のことを大事に想えないのか!!??」
ケイト「それで嫌な思いをさせるのは間違ってる!!」
フエゴレオン「その前に潰れていては意味がないだろう!!!」
ケイト「私は…兄上に…みんなに、嫌な思いをして欲しくなんかない!!
笑顔が消えるぐらいなら、私は潰れた方がマシだ!!」
フエゴレオン「それをふざけていると言っているんだ!!!」
空気がピリピリした。
一瞬にして緊迫し、張り詰めたものへと変わってしまった。
フエゴレオン「それで…
お前が苦しむことが、嫌な思いをしないことだと!
本気で思っているのか!!??」
ケイト「違う!!
私は…ただ……」
フエゴレオン「お前は…いつも人のことばかりだ。
それ以外、ろくに考えようともしない。
自分のことなど、塵芥のように思うことで
そうでなければ、耐えられなかったことぐらいは解っている。
だが!
それでそうしていいということにはならない!!
人のせいにするな!自分の気持ちから逃げるな!!ないがしろにするな!!!
これ以上…
お前を殺すな!!!!」
心の叫びに背を向け、生きてきた。
そうでなければきっと、犯罪を犯していた。
それはよく解っているし
守りたいからこそ、ずっと戦い続けていたことも知っている。
それでも…どうしても、赦せなかった。
ケイトが目の前で、そのように自分から壊されていくことが。