八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第19章 ページ19、異変
ケイト「争いで、力で、それじゃあ何度も繰り返しだ。
だけど、言葉で納得できない人もいる。誰もが平和を望んでいるようで望んでいない。
自分にとって満足のいくものを常に求め続ける、それが人間だ。
終わりない欲望をもって、終わりない夢をもって、何でも突き進む。
たとえ傷付けようと、平気な面をする人だっている。
それで人のことを悼む人もいる。
誰もがいい人じゃない。でも誰もが悪い人でもない。
誰しもに、良い部分はある。
そこに焦点を当てるべきだとも思うが、それで悪い部分をないがしろにしていいわけじゃないんだ。
私はさ、一歩前に踏み出す勇気がなかった。
怖くて、前に進めなかった。歩み寄れなかった。話しかけることができなかった。
何度も何度も…話しかければひどい目に遭わされるばかりで、諦めるしかなかった。
それが私にとっての当たり前で、常識で、人生で…ある特定の場所で長年学んだことだった。
そこは牢獄で、痛い目に遭うのが当たり前で、ひどく苦しかった。
でも…フエゴレオンがいたから、何とか耐えられたし、傷とも向かい合って乗り越えることができた。
墓前で泣きじゃくりながら……
幾多の命のもとに、私達は生かされている。
生きていることが、自分一人のものじゃない。一人だけのものにしていいものでもない。
過去に、その今のために、何人もの人が死んでいった。旧友が死んでいった。家族が死んでしまった。
…自分という命は、自己の利益にあってはならない。
遥か遠い昔、人類が生まれたその瞬間から…受け継がれてきた命が、自分で…友で、夫で…今生きている人たちだ。
求めるのをやめろとは言わない。でも…
少しでいいから、目に見えない「大事なもの」に目を向けて欲しい。
それを知ろうともしないで、決めつけて、殺されかけるばかりだったからっ」
ぽとっ
その涙は、ひときわ美しく、綺麗で…
とても哀しく見えた。
ケイト「最後に…
私が、国王として、この国の在り方を変えたかった(涙)
ヤミみたいな外国人がいるのが当たり前にしたかった。差別をなくしたかった。
国民の心の貧しさを、どうにかしたかった。
誰もが笑い合って、真正面からちゃんと見て、向かい合って…
共に乗り越えていく未来にしたかった」
その涙声は、痛切なものだった。