八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第19章 ページ19、異変
ケイト…お前は、悪くない。
そう思いながら
ケイトを見て、そっと頭を撫でると…
ケイト「あのね…フエゴレオン。
私さ…
誰もがいい人間で、誰もが悪い人間だって思う」
フエゴレオン「?どういうことだ?」
ケイト「…人間は、誰しもにとっていい人にはなれない。
誰かにとっては良くても、誰かにとっては悪く感じることもある。
人の育つ環境によって、その人の本質は変わる。
助けになれればって純粋に助けようとする人から
それで見返りを求めようとする人まで…
善悪の区別ができない環境で育って、殴られることが当たり前の環境で育って
それで殴り返すのが普通だった人や、自分が悪いからだって思い込む人まで…
私は、独りだった。誰も身を挺して護ろうとしてくれなかった。
幼かった私は、傷付けられるのが当たり前だった。殺そうとされるのが当たり前だった。
父から殺されかけるのが、当たり前だった。
だから、集中力が身についた。目の前のことへの…
それで、もし考えていたら、集中し過ぎて何かが頭に入ってこなくなったり
それで無視になって、人にとがめられたりする。
と言っても、真正面から向かい合って言ったりなんかしない。周囲へ陰口として言い続ける有様だ。
周囲は全て私のことを「悪い人間」だって、言い拡げるばかりだ。
父のこともあって、周囲のいじめや偏見やそう言った経験も相まって…
恐怖がたまらなくて、人自身が怖くてしょうがなかった。
目に見えない、その経緯を人は見ようとしない。
肝心の見ないといけない部分はそれだって、私は思うんだ」