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八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】

第19章 ページ19、異変




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呪術の影響が顕著に表れ、黒いのが誰の目にも見えるようになった。

人の闇を吸い、それを悪夢として見せ続けて弱らせていく古代呪術らしい。


今から10年前の話だった。

当時は、俺の5歳の誕生日で
ラクエで初めての海に無邪気にはしゃいで手を振る中、後ろから刺そうとする敵から守るため
姉上が俺に覆いかぶさって庇い、ナイフを突き立てられた時に共に体内へ流し込まれた呪術だ。

兄上が犯人をレオ・パルマで拘束するも
「はっはっはっ!言い知れない闇に殺されるがいい!!」狂ったように高らかに笑い、自決した。

姉上が15歳、兄上が19歳の時で…

一生目を覚まさないかもしれないと、言われた時で…
その可能性を初めて示唆された時でもあった。



そして姉上に触れた時、姉上が見ていた悪夢の内容が見えた。

というより、伝わってきた。


そしてそれは…

姉上がこの家に来る前の8歳の時に経験した出来事で
研究所で何年も散々されてきたことのフラッシュバックだった。



「お前の居場所なんざ、どこにもねえんだよ!!」
ケイト「ぎゃあああ!!!」

「お前が居なくなったところで、哀しむ奴なんざいねえ。せいぜい勝手に絶叫してろ。
愛すべき存在に殺された愚か者なんざ、誰にも求められやしねえんだよ!この人殺し!!
お前の血がどれだけたくさんの奴ら殺したんだろうな!?」

周囲に散乱する、内側から爆発したかのように血を吐き出した躯の山に…
涙が滲み、視界がかすんだ。


「どれだけひどい目遭わされても足りねえんだよ!」
どごっ!!
ケイト「げほっ」

「そういう目に遭うのが普通なんだよ!!
ぐじゃ!!
ケイト「ぎゃあああああああああ!!!!」


「お前のせいだ…お前のせいで、苦し…がはっ。おのれ…よくも、じわじわと。げほっ」

覆い被さったまま、息絶えていくそれは温もりを失い、段々と冷たくなっていった。

と同時に、自分の中にはその考えが染み渡っていった。
自分がこういう目を見るのは、普通なのだと。それ以外をされない方が異常なんだと。


一種の洗脳だと気付いたのは、兄上に自分を大事にする大切さを諭されてから。
自分を、誰よりも大事にしてくれたから。


その悪夢を通しての想いが、姉上の魔導書の魔法で通じて伝わってきた。



俺は姉上の手を握り締めるしか出来なかった。


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