八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第19章 ページ19、異変
『誰しもが、行動に至るまでには経緯がある。事情がある。
ひどい目に遭い続けていて、人に対する価値観がゆがんで、殺すのが当たり前の人だっている。
そんな奴を「悪」と断定して殺して
後々何事もなかったかのように、虫を殺した後のように笑っている。
お前達がしたのは、それだ。
それを正しいと笑って、正義だと信じて、今を楽しんで生きているだろう。
で、お前が殺したそいつは救われるか?
まだ先があるはずだった未来を、更正して人としての喜びを味わうはずだった時間を奪う。
それが殺しだ。
それを自覚しないまま殺して、へらへら笑って何事もなかったかのように過ごしている。
あいつは、それが気に障ったんだ。
あいつの言葉も、グレイクの言葉も、ヒントはそこかしこに転がっていた。
だがお前達は、その言葉の表面しかとらえずに読み取ろうと、「考えようと」しなかった。
あまつさえ、それで怒って攻撃してくるような奴だ。
お前達にとっての力は、その時のために使うものじゃない。
お前達は言ったな?
力を欲する理由を問われた時、「大切な人を護るために、その力を身に付けたい」と。
そう言ったお前達の「それ」を試したんだ。意志の強さを、真の覚悟をな…
お前は、それに辿り着くのにも自分で考えずに人に尋ねるばかりだ。
それで進んだ道に、何の意味がある?
あぁいう言葉はな、あいつなりにチャンスをくれたんだ。
「こうすれば認めてやる。ちゃんと頑張ろうとしていることを」ってな。
なのにお前達と来たら、それを読み取ろうとせず、考えようともせず、否定されたってんでむきになって怒るばかりだ。
そんな奴等に「教えたい」なんて思うか?
無論、答えはNOだ。
俺はあいつ側につくぞ。
あいつの人柄考えればすぐ解ることなのに、勝手に決めつけて攻撃した。
あいつの敵に回れば、誰の目から見ても負け確定だからな』
そう荷物を纏めて、姉上側についた主人公の家庭教師に、考えを改めたらしい。
ちゃんと自分のとる行動に責任を持つこと、それが人として本当の意味で生きるということ、
先程の姉上の言動から、様々なことを学び取ったらしい。