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八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】

第17章 ページ17、二人きりの時間





ケイト「フエゴレオ…すき^^//」にこにこ

フエゴレオン「寝れん//」しかめ顔


寝転がる中、ケイトはずっと私の右半身の上で

私を抱き締めるよう腕を回しながら眠り続けていた。



ケイトがベッドから落ちないよう、その腰へ回していた右腕は

言うまでもなく痺れた。


そんな中、朝になるまで私は一人、目を瞑りながら考えていた。



『出会えて、本当によかった』…と。


私はヴァーミリオン家次期当主の重責から、ケイトはそういった固定観念から

互いに、互いが救われていたからこそ…


今、こうして笑っていられる。



長年に渡った時を越え、与えられ続けてきた傷や痛みを幾度となく乗り越え

…ようやく、私達は出会った。



多人数ならば、一人の自分をいくら傷付けても、それごと笑って楽しいと思える。正しいと思える。自分等放置して、平気でそれごと楽しんで笑ってられる。そんな人達しかいない。
ならば自分は一人で耐えるしかなかった。一人にならなければ誰かが巻き添えになるから。死ぬのは自分一人でいい。消えた方がいいのならば自分は殺す。それがたとえ、自分であっても。自分の心や感情は、自分が殺す。
そうしないことで、自分を護ったせいで誰かがそれ以上傷付くのは嫌だから。

そういったケイトの考えを、見つめるべき本質を、全て無視した。
挙句の果てにはひどい言葉で中傷し続け、否定してはそれが正しいように笑っていた。


その当時のケイトの心中は定かではないが、ひどい傷を負ってもなお平気そうに笑わぬまま一人で生きる以外なかった。


そんな「知らなければ何をやってもいい」とでも言い張る環境では

どれだけ人の為を想って行動しても、全て悪くとらえられ、これ見よがしに叫ばれるだけだった。

当時貧血していたことから足を踏んだ、そんな一時の「ただのミス」だとしても、「ワザとだ」と中傷される以外ない。
謝っても悪く言われる、理由を話しても悪く言われる。

挙句の果てには話すことをあきらめた。伝えることをあきらめた。




だからこそ…

私が最初に出会った時のように、ケイトは心を閉ざした。


人に怯え、料理も水も拒絶し、生きることをも拒絶した。

(14ページ参照)



誰もがそうなのだと信じて疑わないようになった…

そしてそれは、誰の目にも明らかなものだった……



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