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八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】

第17章 ページ17、二人きりの時間





フエゴレオン「お前は…仕返しをしなかった!

痛い思いを身をもって刻み込まれたからこそ、それを長年に渡って知っているからこそ
お前はそれを味あわせたくないがために、大事にしたいがために、相手が傷付くことを何よりも恐れた。


お前は…自分よりも相手を気遣い、思い遣ろうとすることができる人間だ!!

たとえそれが、自身を傷付けてきた相手だとしてもだ!」

ケイト「けれ…ど」がくがく


当時の恐怖は、過去は決して変わらない。

自身の心を殺し、消し、ひとりになるしかなかった。


それ以外、最善の道を見いだせなかった。

だからこそなのだということは理解していた。



それでも…

また、再びひとりになって


自身を殺そうとする様を見るのは、嫌だった。



フエゴレオン「大丈夫だ!私が、ちゃんと見ている!!」

ケイト「っ…うああああああああっ;;」


ひどい悪夢を見たのか、ひどく怯えていた。



フエゴレオン「大丈夫だ。

私がついている」ぎゅうう

そう言いながら抱き締め、頭を撫で続けた。


泣きじゃくるそれは、ひどく震えていて、弱々しくて…

戦場での圧巻ともいえるそれとは、遥かにかけ離れていた。



ルドルフ殿がケイトを庇って死んで、ひどく憔悴していた。

それもまた背負ってのことなのだろうが…


あの当時よりも感情が蘇ってしまったからこそ

その分精神にとって多大な負荷となり、破綻(はたん)してしまいかかっているのかもしれない。



それでも、やはりケイトが消そうとしているそれは大事なもので…

人の本質というものは、その人にしかないものだと私は思っている。


そして私は…ケイトという本質に、その存在ごと全てに惚れ込んでしまった。



だからこそ、私はただ護りたかった。

ケイトという存在を
愛してやまない、あの幸せそうな笑顔を。


その想いをひたすら込めて、強く強く抱き締めた。

途中、息苦しくなったのかケイトから何度もギブと言われたため少し緩めたわけだが…



それでも、この想いに変わりはなく…


いや、時が経つごとに

共に時間を過ごす内に、それはますます強まっていく一方だった……


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