八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第17章 ページ17、二人きりの時間
・結論→そのまま運ぶ&寝る
あれから数分後…
そおっと、ケイトをしっかり抱き締めたまま立ち上がり
炎創成魔法で炎の獅子を足元から作り出すことでそれにまたがって乗りやすくし
私達を乗せたまま、共に宿へ運ぶといった形をとることにした。
その間、ケイトは微動だにしなかった。
道中にて、魔法帝の死を母の死と重ねたことを聞き
墓の掃除をしてから後、ケイトの母の墓前にて冥福を祈ってから
母がどのように死んだかをポツリポツリと説明されたわけだが
やはり、疲れがたまっていたのだろう。精神的な我慢というものによって…
そう思いながら、愛おしく思う気持ちが湧いてきて
涙の跡があるケイトの頬へ、唇を落とした。
大丈夫だと言い聞かせるように、願いを込めながら。
すると、安心したように笑みを浮かべた。
あの墓へ向かった道中から、笑みは消えていた。浮かべようとすることもなかった。
それほどに精神が追い詰められ、追いやられていた。
だからこそ…嬉しかった。
嬉しくて笑いながら、頭を撫でると…
僅かながらにくすぐったそうに身をすくめた。
その変化もまた面白く、可愛らしく、愛らしく感じて再び反対側の頬へ唇を落とした。
むにゃむにゃと、僅かばかり動きながらもそれはすぐに止まった。
深く眠りにつこうとしているようにも見え、この上なく気持ちよさそうなそれに
私は笑いつつも、自分から起きるまで寄り添うことにした。
ケイトは…人の闇ばかり見てきた。
だからこそ、それをぶつけられるのが普通だと感じるようになった。
人の温かさを、もっと近くに感じていて欲しかった。
それが必要だと、ぶつけられるのが当たり前だと感じるぐらいに、浸透して欲しいから…
布団に横たえつつ、ずっと裾を握ったままのケイトに寄り添うように
私もそっと横になり、ケイトを抱き締めた。
その時のケイトの顔は笑っており…
私もまた、笑っており……
当時は気付かなかったが
どちらも、どこか晴れやかな表情となって、眠りについていたそうだ。