八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第17章 ページ17、二人きりの時間
ぽとっぽとと
気付けば…
互いを抱き締めたまま、どちらも泣きじゃくっていた。
一緒に居たい、離れたくない、それでも…
死は、避けられない。
大切な人を亡くしたことの経験によるものか、悼みからか、
痛みからか、哀しみからか…
目の前の人を失いたくない、そんな願いから……
ケイト「私、だって…フエゴレオン、失いたくなんかっ;;」
フエゴレオン「……同じだ」
ケイト「え?」ぐすっ
フエゴレオン「それと…同じなんだ。
お前がそういう風に言おうとも、自身に対してそう感じていようとも
私には…どうしたって、大事なんだ」
ケイト「…!」はっ!
やっと、気付いたようだ。
同じことをされると、どう思うかを…
フエゴレオン「だから…
私は、お前を殺すことを赦したくはない。
たとえそれがお前であったとしても、大事な存在であったとしても
それを…殺そうなどとはして欲しくない」
ケイト「っ;;」ぎり
ぽと
ぎゅううう
その言葉を聞いた時、ケイトは嬉しさからか涙を流しながら
私を抱き締めながら、強く拳を握り締めていた。
その感情の奔流も、噛み締めるように歯を食いしばりながら、涙が私へ降ってきた。
ケイト「ぅっ;うあああああああっ;;;」
制せられなくなったのか涙で顔中を濡らし、激しく慟哭した。
哀しかっただろう。辛かっただろう。
胸の内を伝えず、必死に押さえ、そうすることで守ろうとする癖がついてしまった。
護りたくて、哀しい思いを拡げたくなくて、無理をし続けてきた。
既に、私は知っていた。
だからこそ、その想いに至ったのだろうということを。
だから、とても哀しく感じた。痛く感じた。
その慟哭が響く中、私はその背へ手を回してしっかりと抱き締め、背を撫でながら言った。
フエゴレオン「我慢していた分、泣いてもいいんだ。
ルドルフ殿のこと、家族、死んでいった者達…
泣きたくても泣けなかった分、押さえ込んできた分、今ここで泣け。
無理に押し殺すな」
ケイト「ぶわあっ!!)わあああああああああああああああああああああ!!!!!;;;;」
その一言の直後、耳がつんざくほどの声が響いた。
嗚咽と共に涙を流しながら叫び続けるケイトに、私は…
気絶しそうになりながらも、その背を撫で続けた。