八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第17章 ページ17、二人きりの時間
フエゴレオン「お前は…悪くない」ぎゅう
ケイト「…え?」
フエゴレオン「お前一人が、悪いわけじゃない。
お前が大事だから、大切だから…だから、ルドルフ殿は庇った。
その気持ちも、分かるだろう?」
ケイト「……うん」
その不安を、疑念を払いたくて、強く抱き締めながら言うと
小さく頷きつつ、響いた声はあまりにも弱々しく…
未だに、自分などと思っているのが痛切に感じてならなかった。
それをわかっているからか、不意に視界が滲んだ。
フエゴレオン「…なら…お願いだから……
「生まれてきてはいけない存在」などと…哀しいことを言わないでくれ」
ぽとっ
ケイト「!!!・・」ぎょっ!!
フエゴレオン「…頼む……自分で、自分を殺さないでくれ」
ケイト「!」
フエゴレオン「私から、お前を奪わないでくれ」
震えが止まらなかった。
涙が止まらなかった。
気付けば、子供のように泣きじゃくっていた。
大切で仕方がない人を、奪われたくはなかった。
失いたくはなかった。
何かしらに繋がっているとしても、やはり死は受け入れがたい。殺しなどは特に。
だからこそなのだろう、ケイトがそれを嫌がるのは。
死刑についても同様に。
フエゴレオン「私は…お前を、失いたくはない」
震え声は、あまりに小さく…
間近にいたものにしか聞こえぬほど、弱々しいものだった。
ケイト「ぶわっ!!)…ひっく;;うっ;;」
その瞬間、すぐ近くでしゃっくりが上がる音が聞こえた。