八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第15章 ページ15、喪失
ヤミ「生身で特攻してどうすんだ!!!;」
後ろからそんな叫びが聞こえたが、生憎今は聞いている暇も余裕もない。
一刻も早く、止めなければ…
そうでなければ、周囲も、ケイトも、無事では済まなくなる。
1年5か月ほど前、レオの誕生日にかけられた呪術がより顕著になってしまう。
あの当時から、あれは解術されてなどはいない。
大丈夫だと笑って言っていたが、とてもそうは見えなかった。
びゅごおおおおおおおおおおおおおお
フエゴレオン「ケイト!!聞こえるか!!!??」
限界ギリギリまで私は近付いた。
それよりも近い渦だと
あまりにも凄まじい威力により、巻き上げた岩が全て塵に瞬時に変わり
天において先程まで黒い雲に覆われていた空でさえも、渦に触れた直後に蹴散らされ
そこから光が差し込むだけでなく、青空へと晴れ渡らせるほどのものだった。
凄まじい音と共に、風と共に泣き叫んでいるように見えた。
力の限り、思いの限り、一緒になって、高め合って…
フエゴレオン「聞こえてはいない、か(ぎり)
…(突っ込むしかない!」きっ
ぐっ!!!
手で突き破って入ろうとする最中
見えない壁が、そこにはあった。
それでも、無理やり押し込んでいった。
じりりりりり
フエゴレオン「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!
(魔を一点に!!!!」
何かが削られていく感覚がする。
触れた箇所に、全身の魔を集約させた。
ケイトの魔は全身から出され、注意は散漫となっている。
つまり普段している「密になるよう制御している部分」はないということ。
それに加え、冷静さを欠いているからか
魔法を魔に変換する魔法も、それを自身の魔へと置き換える魔法も出せていない。
ならば…
無意識に呪力を押さえている魔の分を差し引いても
その魔の壁を貫き、人ひとり分程度の穴は開けられる!!
開いた瞬間に入らねば、次のチャンスはない!!!
ピシッ
そう考えながら押し込み続ける中、何かにヒビが入ったような音が響いた。