八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第12章 ページ12、穏やかな日常
初対面の時
私はケイトのことが、若干気に食わなかった。
だから、あえて癇に障る言い方をした。
普通なら、そこで嫌な奴だと断ち切り、喧嘩になり、距離を置くだろう。
そう思っていたのだが、ケイトはその普通の人とは全く違っていた。
あえて、真っ直ぐに受け取っているように見えた。
いや…
今だから解ったことだが、ケイトは言葉をそのまま真っ直ぐに受け止めることしかできないようだった。
そのようなことを言った矢先、一瞬でトラウマが呼び起こされたのか
眉間に皺を寄せ、怯えるように震えが止まらなくなっていた。
無論、フエゴレオンが怒り出したわけだが…
ケイトはそれを裾を掴んで止めた。
その声は震えていて、力もあまりに弱々しく
到底、止めようとしているもののようには思えなかった。
だが、一番興味を引いたのはその後の行動だった。
私の前に立って、「トラウマにも、あなたにも負けない」と言い放ち
堂々と真っ直ぐに目を見つめる様に、真剣さがうかがえた。
父に殺されかけ、研究所でひどい目に遭わされてもなお
それごと「今度こそ守り抜こうとする原動力」に変え、必死に己を奮い立たせているそれは
見ていて「悪くない」と感じ、笑った。
その想いも、心意気も
本気なのだということは、誰の目にも明らかなわけで…
だからこそ、余計に興味がわいた。
(49ページ参照)
「気に食わない」などといった印象は、その時に吹き飛んだ。