八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第12章 ページ12、穏やかな日常
~癒やし~
1月下旬、今日は私とケイトが出会った日だ。
正確には…
私がケイトを部屋から連れ出した記念日なわけで……
その日は毎年必ず、外へ出かけて買い物をしている。
昔の時には
いるだけで気分が悪そうな顔をして、ひどい時には吐いていた。
だが、5年が経った13の時には少しずつ吐き気はなくなっていき
社会に出て魔法騎士団に勤めるようになってからは
幾分かは人付き合いも慣れたようで、吐いたり気分が悪くなることがほとんどなくなっていた。
そして今…
ケイトが15にして、全く気分が悪くないようで
とても嬉しそうに、清々しい顔で町を走り回っていた。
遠い昔
父から激しいDVを、周囲からは激しい迫害&差別&孤立を受けていたことから
ケイトは、人の中にある闇や負の念を感じ取れるようになった。
それから生き延びるために敏感に感じ取り
誰かに嫌な思いをさせまいと、必死に人のいない方へと行こうとばかりしていた。
その習慣故のことだと知ったのは、つい最近。
それもこれも…
「そんなに気にすることはない」という私からの諭しを受け
それを必要以上に感じないように魔に働きかけようと頑張った、本人の努力…と
予め、王都で生活している皆に
「ケイトが人がたくさんいる中にいると、気分が悪くなったり、吐きそうになること」、
「それに至るまでの
ケイトが遭わされた諸事情や経緯」を説明し、理解してもらうだけでなく
「あまり畏敬の眼で見ないで欲しい」、「差別しないでやって欲しい」と伝え
それを可能な限り、実行してもらっていたからこそだな(微笑)
ケイトが満面の笑みを浮かべて、人がたくさん行き交う王都を走り回る姿など
私は、想像だにしなかった。
それに協力してくれたノゼル達にも、本当に感謝している。