八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第4章 ページ4、家族
おそらく、ケイトにとって家族とは…
それほど、大切ではないが
父からの傍若無人のDVから耐え忍ぶため
母や姉がいればいいと寄り添い合っていたのだと、母上から認知されていた。
そういった家庭内での様子は
母同士が手紙でやり取りをしていたため解っていたらしい。
そのことから母上は、魔法騎士団に依頼をして
母と姉とケイトを助けようとしたらしいが、その時は父に感付かれて殺されてしまったそうだ。
が、ケイトだけがあまりの魔の量により蘇生できていた。
そして、ケイトの気持ちを考えて
真相や記録などといったことは、闇の中へ消され
私が知っていた
「ケイトの両親はそれほど名もなく、魔法騎士団でもないが
四つ葉の魔導書を持っている人」ということだけが
事実とされたらしい。
一人で抱え込むにはあまりに重く
誰にも語らぬまま生きてきたそれは、強く
人からされてきた行いは、どれもが…
凄惨で、むごたらしく思えてならなかった。
何故、人と向かい合う時に彼女が怯えるか
研究所でされてきたことも含め
それらの真実を父上から教わった時、唖然としながらも分かった気がした。
しかし、今では怯えるよりも、それと今までの過去ごと向かい合った上で
それらによる不安を振り払おうと、楽しもうとしているように見えた。
よく笑って、それでもなお生きようと、元気そうに振る舞い
無邪気に、目の前のことを楽しんでいるように見えるが…
今でもきっと、心の奥底では暗影が潜んでいるのだろう。
部屋で明かりもつけず、月明りが差す中
遠くを見つめたままでいるその姿は、暗くも思えた。