八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第12章 ページ12、穏やかな日常
ぱちん
小さな音が、部屋に響いた。
ケイト「…へ?」
フエゴレオン「…
これは、本がお前にされた痛みだ。
それと…もし死んでいれば、私に会えていなかった。
その可能性さえも「死んでいた方がよかった」と否定したことの、私情のものだ」
ケイト「っ…ごめん」
そう言いながら本を撫でるが、私へとつき返してきた。
おそらく、もう見たくはないのだろう。
ケイトの場合、好き嫌いが激し過ぎる。
嫌いなものは、非常に「ない」に等しいほどだ。
どうあっても、「赦せない」と思えるものしか嫌いにはならない。
苦手はあっても、それだけで嫌いになるということはない。
だが、その分嫌いなものに対する態度は一変している。
見るだけで吐き気を催し、話すことから目に入れることさえも嫌っていた。
まあ…
怒りのままに人を殺すことが正当化されれば
世の中は殺人だらけになってしまうから、余計にそう思うのだろうが…;
ケイトの気持ちも、わからないでもなかった。
私もケイトも
理由や経緯はどうであれ
「悪いこと(殺人)は悪い」、「悪いことをしたのなら謝るべき」、「しないように心掛けるべき」
といった考えを、常日頃から身につけているから余計だろう。
ケイト「…っ;;」
フエゴレオン「泣きたい時は泣いたらいい。
私の胸にでもいいから、来い」ぐいっ
そう頭を右手で引き寄せ
左手で背中をさすりつつ、右手で頭を撫でると
ケイト「…うっ;;
ありが…とう;;;」
声を詰まらせながら、泣き伏び出した。
その時、思った。
ケイトはただ、純粋過ぎるだけなんだ。と…