八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第12章 ページ12、穏やかな日常
「人を殺すこと」と「自分の大切な人、世界を守ること」
それらを天秤にかける間もなく、考える間も悩む間もなく
その場の怒りのままに殺し、そのまま日常に戻り
人が人を殺した、殺人を犯したことに対する苦悩も、謝罪もないまま
全く気にせず、平常に過ごしていたから…か。
ケイト「いい人なら何やってもいいのかよ;
人を殺して
それを何とも思わないのを、いい人だって言えるのかよっ;
そんなの…ただ、身勝手なだけじゃんか!!;;
自分の理屈押し付けて、感情押し付けて、その場任せで;
何が…っ;;
何が、全てを包み込む調和だよ!!;;;」
どうあっても受け入れられないようだな。
それもそうだ。
ケイトは、実の父に「一度」殺された。
魔の超速再生によって、再びこの世に生を取り戻したが
本来なら死んでいた。
「自分も死にたかった」
その言葉を聞いた時、胸がチクリと痛んだ。
その当時のケイトにとっては、母と姉以外に理解者もおらず
唯一の支えだった。
そしてケイト自身は母や姉を護ろうと奮闘していたが
ケイトを護ろうとしてくれる人はおらず、一人父の暴力を無抵抗に受けるだけだった。
母や姉のもとに逝きたかったのは解る。
だが…
もし、そうであれば私に会うことはなかった。
その可能性さえも否定されたように感じ、その件については後でゆっくり話そうと思いながら
私は右手で、ケイトの左頬を軽く叩いた。