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八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】

第10章 ページ10、入団試験





風月流には、風月一刀流というものがある。


と言っても姉上が編み出したもので

ヤミさんには、戦術や立ち回りしか教えていないらしい。



音速以上で移動しているものの周りの空気は、当然ながら音速以上で動くが、それ以外の空気は音速以上の速度(約340m/s)で変化が伝わらない。
その音速以上で動いている空気と普通の空気の間には、当然のことながら「圧縮された薄い層」がある。
この境が到達すると、その部分だけいきなり圧力が大きくなっているため、破壊や爆発音を感じる。
これが「衝撃波」。

それを自在に扱えるようになれば
衝撃波で周りを完膚なきまでに吹き飛ばし、全てを無効化する攻防一体の剣となる。
音速以上を極めた速度で刀を振った直後、それによって発生させた「圧縮された「超高密度の空気層」」を周囲へと展開させて叩き付けることで、襲い掛かってくる敵全部を一瞬で吹き飛ばすと同時に気絶させる。

そして剣筋が目に見えぬほどに鋭く速くできれば
適確に完膚なきまで斬り伏せ、全てを跡形もなく斬り刻む剣となる。
ただでさえ圧縮された「超高密度の空気層」を「刀を向ける一か所の方向」のみへ、さらに超高圧縮させ、今まで以上の速度で貫いたり振ることで「斬れる刃状の衝撃波=斬撃」を生み出し、全てを斬り刻める。
それを出す際、周りに凄まじい爆風が生み出される。
その時の爆風は、鋭ければ鋭いほど凄まじさが増す。


それらによって、風月流で戦うことは「周囲を巻き込むこと」を意味する。


それに加え、姉上は魔を自在に操作できる
=大気中の魔を操れば、衝撃波さえも自在に操れる。

そういったことに気付き、着眼してから後
それを発展させ、「衝撃伝達魔法」が生まれたのだと教えてくれた。



人の目の時間分解能(処理時間)は、約50m/s~100m/sの速さ。

そのため衝撃波を起こす際の初動は、誰の目にも映らない。
映るとしても、それは残像のみ。


「私は、それさえも利用して勝つ。
それができてこその一流だ」と、姉上は常々言っていた。




そして俺は、そんな姉上が誇らしくて…

圧倒的な実力差を見せつけて勝った姉上に、羨望の目で笑いながら見つめていた。



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