八つ葉の魔導書(グリモワール)【ブラッククローバー】
第3章 ページ3、光
ケイト「…」
彼の名前、なんて言ったかな?
フエゴレオンだっけ?
本当に…優しいんだな。
そう寝顔をじーっと見ていると、僅かに身もだえし
フエゴレオン「ん…」もぞっ
ケイト「びくぅ!)!!;」
私はその僅かな変化にびくついた。
過去にも似たようなことがあって
その直後に意図せず
急に殴られたこともあってか、怖くてたまらなかった。
が、その時脳裏によぎったのは…
「辛かったろう(さすさす)
案ずることはない…
もう、大丈夫だ」ぎゅうう
優しく背を撫でながら、しっかりと抱き返して
決して離すまいと、安心させようとする彼の姿で
僅かながらでも、心を落ち着けることができた。
フエゴレオン「…ん。
起きたか?」ぼー
ケイト「…うん」こく
フエゴレオン「…よく眠れたか?」
ケイト「…ん。
おかげで…怖い夢…見な、かった。
ありがとう」ぺこり
その時、遠い昔の自分なら笑って礼を言っていただろう。
だが、決して笑おうとして笑わないのではない。
笑えないのだ。
頬の筋肉が思ったように動いてくれない。
愛想笑いしようとしても、全く動かないそれにもどかしくも思ったわけだが…
フエゴレオン「無理に笑わなくて構わない。
言っただろう?ゆっくりでいいと。
焦らず、地道にでいい。
すぐに変われるほどのものじゃないだろう?」
ケイト「…うん」
その言葉に、そっと頬を撫でる手に
温かさを感じて、涙を浮かべながら頷いた。