第2章 マフィアの女だって恋する乙女【太宰治】
「ッだあああああああああ!!!フラれたあああ!!!」
ダンッとビールを机の上に置き、えんえんと叫ぶ私。
何時、お隣さんから苦情が来るかたまったもんじゃないが、私は叫ぶことをやめられない。因みに、夜中2時、自宅で絶賛、愚痴祝宴(パーティー)の真っ最中である。
「うんうんそれは悲しいねえそれはそうと聞いてよ私つまみにビーフジャーキーが食べたい買ってきて」
この男、太宰治。私の同僚である。名を仮に自殺大好きクソ人間1号としよう。としよう。そして先ほどから、愚痴というよりビーフジャーキーの話しかしない。何だ、それは遠まわしに私の愚痴を言っているのか?枝豆先輩じゃ駄目なのか?枝豆先輩の敵ィィ!!
「アアッ畜生!!太宰がウザすぎてたまんねえよ!!この前もなァ?俺のこのトレードマークの帽子によォ・・・、『アッ綺麗な帽子だね何それ?身長を一寸でも伸ばす為のやつ?ははは諦めなよ絶対どう頑張っても、無理だから。それより私がもっと素敵な帽子を上げよう。此れ。鳥の巣。此れ被ったらその帽子よりも確実に身長アップを狙えるよ。ちゃんと卵も入っているんだよ?生き物は大事にしてね。(声真似)』なぁんて言いやがるんだよ!!畜生何時か絶対ェ殺す!!」
この男、中原中也。私の同僚である。名を仮に、お洒落さん2号としよう。此奴は此奴で先ほどから、自殺大好きクソ人間1号・・・、否、自殺大好きクソ人間1号改め、ぽんきちとしよう。そいつの愚痴しか言わない。因みに今の話は、ちょうど50周目を回ったところである。
まあ、この二人の同僚の所為で大分主旨から外れてしまったがこの際ハッキリ言おう!!
「ちょ、聞けや、手前ら」
「おうおうどうしたんだ」
「さっきから言ってるんだけどね、フラれたの!!」
「ビーフジャーキイイイイイ!!!」
「それはもういいって云ってんだろーーがァ!!!」
ぽんきちを殴り飛ばす。
「フラれたの!!」
「応、それさっき聞いた。」
「なんか!!ずっと付き合ってたのに!いい感じだったのに!マフィアの女とはやっぱ付き合えないって!!」
「どん位付き合ってたんだ?」
「3ケ月!!」
「中学生か!!みじか!!」
「その前の彼氏も、その前の前の彼氏も!!いつもいつも最後にはマフィアの女とは付き合えないって!!」
「平均交際期間は?」
「3ケ月!!!!」
「期待を裏切らねえ!!!」