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【文豪ストレイドッグス】 short story

第8章 青春より黒春ってか?【太宰治】


白い病院の壁。
一面真っ白でどこか不安を覚える。私の腕には点滴があって
嗚呼、しくじったと瞬間悟った。
そんな不安に苛まれていた中、予想もしない人物が私に声をかけた。

「やあ梢。怪我は大丈夫かい?」
「太宰さん・・・。」




大方からかいに来たのか。
国木田さんやほかの方々からお見舞いに貰った果物を詰めた籠の中の林檎を彼はひょいと取った。嗚呼そのまま口に運ぶのかと思えば意外にも器用に皮をするすると剝き始めた。
あれ、この人、こんなことする人だったけか。否、違うな。自分の為に剝いているのだ。



秋になると何処の大学も慌ただしくなる。それもそのはず、大学で文化祭なるものが行われるからだ。皆、馬鹿みたいに浮かれ、はしゃぎ、騒ぎ出す。文化祭なんて、高校でもやったろ。中には中学でもやった人もいるというのに、お祭りというのはいつの時代も、人を興奮させる魔力のようなものが込められているのだろうか。


私は昔から運が悪かった。所謂不幸娘だったのだ。
2歳の時に両親を亡くし、親戚に引き取られた。
しかしその親戚でも厄介払いされたらい回しにされたあげく、私が高校生になった時には、一切誰も私の面倒を見るものはいなくなった。仕方がないから、今もお世話になっている、武装探偵社なる処で働いて、その日生きるお金を稼いでいる。
こんなただでさえ生活が苦しい私が、大学はもちろん高校も通う必要なんてあったのかというと、私には目的があった。
それはいつか、政府の秘密機関、異能特務課に就職することだ。私の数少ない友人の中で、中学からの同級生がいた。
彼女の親は、異能特務課に勤めているらしく、そして彼女自身も見習いなのだという。

そこで、彼女から異能とそれを取り締まる異能特務課の話を聞いた。異能特務課は異能者ではない私でも入れるのかと聞いたら、ある程度の武術を嗜み、成績や、その他の点でもいろいろ考慮するらしい。勿論、普通はキャリアかスカウトらしいのだが彼女の伝手で私も就職できることになったのだ。それがつい3年前の話である。

なぜ私のような者が入れるのかはわからない。
成績はトップというだけで、武術の心得など一切ない。強いて言えば体育の成績がトップだったくらいだ。
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