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Where is God?~ドリフターズ~

第2章 I know you


「ふは……ふひ…
 どわっはははははは!
 生きとったんか、ワリャ!
 『人殺し多聞丸』めーーー!」

『人殺し多聞丸』って……あの?

大日本帝国海軍少将の山口多聞?

私でも知っている大物軍人の名前に鼓動が嫌な音を発てた。

「山口多聞氏は航空母艦『飛龍』と共に
 貴方を待っています。
 是非、その戦闘機で向かって頂きたい。」

安倍晴明は再び『空神様』を促した。

『空神様』はどうするのかな?

恐る恐るその顔色を伺った私は、一瞬にして『空神様』の決意を悟る。

ああ……行ってしまうんだ。

「良いぜ!
 行ってやろーじゃねえか。」

そう言ってニヤニヤと笑う『空神様』は愉しそうですらある。

その様子に安倍晴明は心底安心した素振りで

「ありがとうございます。
 では貴女もご一緒に……」

私に視線を向け手を差し出した。

だけど……

「駄目だ!
 コイツは連れて行かねえ!!」

『空神様』の怒号が響く。

「何故ですか?
 彼女も漂流者(ドリフ)なんです。
 漂流者(ドリフ)は共に居なければ……」

「連れて行かねえッつったら連れて行かねえ!」

戦いの場に行きたい訳では無いけれど、『空神様』に見棄てられた様な気がして私は身体を縮ませ俯いた。

そんな私の頭を『空神様』がグシャグシャと乱暴に撫でる。

「もうコイツに燃える町を見せる訳にはいかねェ。」

その言葉に驚いて顔を上げると、『空神様』は鋭い視線で安倍晴明を睨み付けて居た。

「コイツに怖い思いをさせて堪るか!
 コイツはこのまま此処で、この犬ッコロ共に守らせる。
 俺が此処に戻って来る迄だ。
 分かってんな、テメーら!」

『空神様』は犬族を見回して声を張上げる。

そして私を取り囲む様に集まった犬族の皆は、『空神様』に呼応する如く雄叫びを上げ何度も大きく頷いた。
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