第4章 The walk to paradise
「今、帰ったぜ……ハニー。」
「………ハニー?」
「ああ、仲間になったボリビア人のブッチって奴に教わった。
アイツらの国では愛しい人の事を
『ハニー』って呼ぶんだとよ。」
ククッと喉を鳴らし、愉快そうに笑う『空神様』。
その以前と何も変わらない姿に私の緊張が解けていく。
「お帰りなさい……ハニー。」
そう言ってニッコリと笑った私を見て、『空神様』は満足そうに目を細めた。
「つーか、許嫁が五体満足で戦地から帰って来たんだ。
先ずは……する事あんだろ?」
『空神様』が私に向かって両腕を広げる。
「ほら……来いよ、。」
その言葉に促される様に、震えて動かなかった筈の私の足は勝手に駆け出していた。
そして『空神様』の胸に飛び込み、その逞しい両腕で包み込まれた私は涙を滲ませ独り言の様にそっと呟く。
「お帰りなさい……。
私の………『空神様』。」
了