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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第1章 第一章


和菓子をご馳走になり、また食べにおいで?用意して置くからと二人ににこやかな笑顔を見て、苦笑いで台所を出ていく。長谷部さんの手には和菓子の箱が丁重に持ち運ばれており、食べないのか聞けば首を傾げてさも当然のように「主のですが?」と言われた時は笑顔が固まった。あの二人…私を太らせてどうするつもりなのだろうか。そう和室の畳を見つめて足を踏み出せば、バンッと大きな音と同じように出て来た鶴がいた。

「おっ!いい匂いがするな!」
「ぅおっ!?えっ…ど、どこから?」

床の畳から飛び立て来た真っ白な美しい彼、鶴丸国永さんがそこにいた。けれど畳の中にいた為か少し薄汚れて見える、私は先ず畳から出て来なさいと手を差し出して見る。すると鶴丸国永さんはとても驚いた顔で楽しげに微笑み「こりゃあ驚いた…」と呟き私の手を取ってくれた。

「君は面白いな、久しぶりにあんなにも驚いた顔を見られた。とても嬉しく思うぜ…」
「いや、だって畳から出て来るとは思ってませんし…」
「主、鶴丸国永は天井から顔を出す事もありますのでお気を付け下さい」
「おいおい、それをいうなよ…主に驚かせる出し物がなくなるだろ?」

鶴丸国永は忍者かなにかなのだろうか。穏やかそうな王子顔だというのに、見た目に反しての驚きを追求するびっくりじじいだった。それにまぁ…なんとも言えず呆れた笑いを見せて、そっと頬を撫でる。ゴシゴシと汚れを落とすようになんども優しく拭いた。さっきよりも驚いた表情で私を見下ろす鶴丸国永さんに首を傾げる、なんだ…駄目だったのだろうか。

「主…この手はなんだ?」
「いえ、頬が汚れていたのが気になりまして…」
「あぁ、すまんな…他は汚れていないだろうか」

他はー…そう彼の周りを上から下に見上げて見おろしてを繰り返しくるくると回る。ポンポンと砂ぼこりを払うように鶴丸国永さんの真っ白な衣に触れて撫でた。ハラハラと桜の花びらが見え始める。少し嬉しそうだ。

「鶴丸さんは折角鶴らしい格好なんですから、真っ白でいて下さいね?折角綺麗なのに汚れては駄目ですよ」
「なぁ主…衣装は白一色でいいのさ。戦場で赤く染まって、鶴らしくなるだろう?」
「……染まらないで下さい、流石に冗談でも怪我は見たくないですよ。ですから…私の事をもっと驚かせて下さいな?」

正面で鶴丸さんを見上げて笑えば、なぜか大笑いされ桜乱舞して見えた、解せぬ。
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