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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第1章 第一章


二人の気が済むまで会話を楽しんだ私は二人の桜乱舞を背に大きく手を振られ部屋を後にした。そしてやはり長谷部さんは私の後ろを着いて来るも、花びらが散ってしまったようで少し不機嫌気味に見える。この広い本丸の道案内をして欲しいと頼む私に、長谷部さんはとても嬉しそうに笑った。

「あれ、主と長谷部くん?まだ夕食には時間があるけど…どうしたの?」
「主か…怪我はもう大丈夫なのかい」

眼帯の彼と薄紫色の髪をした男性二人が調理を勤しんでいた。とてもいい匂いでお腹がなりそうになった、確か彼等は燭台切光忠さんと、歌仙兼定さんだったと思う。歌仙さんならまだしも燭台切って、これはまた凄い名前だと何故か覚えてしまっていた。私はぱっくり割れて包帯を巻かれた手のひらを見せて苦笑いを浮かべた。

「あはは、お陰様で…長谷部さんに手当てをして貰ったので。なんとか大丈夫そうだと思います」
「全く、雅じゃないね…手が使えなくなったらどうするつもりだったんだい?」
「いえ、恐怖で口答え出来そうになかったので…痛みでなんとか誤魔化したと言いますか」
「うーん…主。君は女の子なんだよ?傷でも残ったらどうするつもりだったんだい?」
「あぁ、そうですね…その時はまたその時で考えます」

なんて適当な回答だろうか、ガクッと項垂れた燭台切光忠さんに私は自分の頬をかいた。心配してくれるのは有難い事、なのだろうとは思うが…あそこまで息が詰まる空間にいれば遅かれ早かれ私の精神が駄目になっていただろう。逆にこれで良かったのだろうと思えた。歌仙さんはとても呆れたようにため息をついて、私の目の前に茶菓子を添えて出してくれた。

「食べに来たんじゃないのかい?」
「いいんですか!」
「ふふっ…主って可愛らしいね。もっと餌付けしたくなるよ」

餌付け…いや。うん。目の前にある和菓子はとても可愛らしいし、桜の形をしており食べるのが勿体なく思える程だ。しかし餌付けはないでしょう。動物ならまだしも、私は今日からここの主であり…一応大人なのだけれど。

「主?いらなかった?」
「もしかして、和菓子が駄目なのかい」
「いえ…和菓子大好きです。ただ食べるのが勿体ないなと…」

あながち嘘でもない為、その言葉を素直に伝えれば二人はキュンとした様子で私を見おろしていた。止めて欲しい…以下にも主には和菓子をあげなくてはいけないという視線が注がれた。
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