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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第8章 第八章


「さてと、先ず嫌われるならどうすればいいでしょう?」
「おやおや、それを僕に聞くのかい?」

そう笑う髭切さんは私にそっと抱き着いて来た。ぱちぱちと瞬きして嫌がるようにもがく私に髭切さんは楽しげに笑うばかりで全く離してはくれなかった。これは私が彼を嫌がる事であって、髭切さんは私を嫌いになる理由になるのかが分からない。その時勢い良く私の身体と髭切さんの身体を何者かが離せさせた、そのまま後ろにバランスを崩してしまい、池の中にバッシャーン!と落ちてしまった。

「ごぽっ、ごぽっ…」

驚いた事にこの池は足がつかないのである、深過ぎる池にもがくも届かない。泳ぎなんて小学生くらいで泳いだ事しかない為余計に暴れてしまう、軽くパニックになってぐっと夜空に浮かぶ月に手を伸ばすと私の意識はぶちりと途切れてしまった。

+++

パチリと目が覚めるとそこには天井があった、覗き込むように私の顔を見下ろされる。薬研くんと一期さんの姿を見た。心配するように私の手のひらを握った一期さんに「ここは…」と呟いた。

「俺の部屋だ。大将…まだ春先なのに鯉が泳ぐ池で水遊びとは面白い事をするんだな」
「あぁー…なんか思い出しました、あれですよ?かんすいよくをしようと思ったんですけど…なぜか勢い余って落ちてしまいました」

分かりやすい嘘で取り繕った所で直ぐにバレるのは分かる。きっと薬研くんは全ての事を知っているだろうが、一期さんに言わないでいてくれたようだ。一期さんは私の手を握り締めている、わざとではないにしろ私を押してしまった相手に向かって、刀を向けてしまいそうに思えた。

「主殿、そんな見え透いた嘘を私が信じるとでも?誰がやったのか顔を覚えているはずです、私に命じて下されば…」
「一期さん。私が『かんすいよく』と言えば『かんすいよく』なんですよ?」

大丈夫だと言う目で一期さんを頷いて見る。少し悲しそうに私を見た一期さんは私に謝罪すると部屋から出て行った。薬研くんは私のおでこにそっと手を添えて来る。

「今の所、熱はなさそうだな」
「薬研くんは…」
「知ってる。ただ大将がいち兄や他の刀剣男士に言いたくなかっただろうと思って言わなかった…あぁ。因みにここまで運んで来たのは髭切だったか。今頃慰めに行ったんじゃないか?」
「ありがとう、今から髭切さんの所に行って来てもいい?」
「大将、あてはあるのか?」
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