第7章 第七章
しかしそこまで暑くはないし、微風が寧ろ涼しいと思える。昨日はずっと本丸の中で過ごしていた為、外を照らす太陽がとても眩しく感じた。畑仕事であり、鍬(くわ)を持つ私を加州くんが軽く引いている視線をグサグサと感じるも気にせずに土を耕して行く。
「やっぱり…植えるならキュウリとかキャベツ、トマトやニンジン…ネギとか?後は枝豆、ほうれん草?」
「俺、汚れる仕事嫌なんだよなー…主って土触ったりするの平気なの?」
「うん、全然気にしないかな?まぁ加州くん見たく爪を綺麗にしていないし…私自身がこう言う仕事とかするの好きだったりすんだよね?」
鍬を構えて、力一杯振りかざす、ザクッという土と鍬が重なるような音を聞いた。こんなに畑が広いと耕すだけでも一苦労するだろうに…けれどやりがいがあっていいと泥だらけの手で頬を拭った。明日はきっと筋肉痛だろう、けれど地道な作業は楽しみがあってそれはそれでいいのかも知れないと思う。
「ふぅ、主に全部任せるのって…やっぱり駄目だから俺もやるよ」
「ははっ…加州くんが手伝ってくれるなら百人力だよ。休憩を入れながらも、頑張って三分の一は終わらそうか!」
「んじゃ、始めますかねー」
ザクザクと掘り進めて行き、加州くんの爪紅が取れて行くのを見つめながら優しいうえに頑張り屋さんなんだなと小さく笑った。
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「一旦休憩しようか、水分補給は大事だからね?」
「はぁ…疲れた」
畑を耕し、痛む腰をトントンと叩きながら休憩だと笑う私。背伸びを行うとポキポキと腰を鳴った、久しぶりにここまで体を動かしたかも知れない。明日の私はどうなっているのかと思いゾッとした。歩けなかったらどうしようか…
「主、どうかした?」
「いや、うん。大丈夫…多分…」
心配し首を傾げる加州くんに笑い掛ける。近くの井戸水で手を洗い流しタオルで顔を拭けば、加州くんはぐっと背伸びをして爪紅を見上げながら苦笑いを浮かべていた。けれどその表情はとても眩しくて、頑張ったと誇ってもいい笑顔である。
「あーあ…取れちゃった」
「私はいつもの加州くんは可愛らしいと思うけど、今の加州くんはカッコイイよ…とても素敵だと思う」
「!…なにそれ、主褒め過ぎ」
「爪紅がはがれるまで頑張ってくれたのがなによりの証拠でしょう?ありがとう…」
私が加州くんの手を包み込むように感謝すれば、恥ずかしそうに顔を背けた