第7章 第七章
織田組、左文字兄弟の背中を見つめていればムスッとしながらも後ろから抱き着いて離れない彼がいた。紅い爪紅が視界に入る。
「ねぇ…主?なんで俺じゃない訳?」
「うーん。加州くんはまた後でかなー…新選組パーティー作りたいから和泉守さんと堀川くんの疲れを癒えてからにしたいし」
「えぇー…」
まぁ、案の定…なんで俺にしてくれなかったの?という刀剣男士がいる訳で、納得して貰う事を伝えても納得してくれる一振りはおらずさっきからブーイングの嵐であった。甘えるように後ろから抱き着いて私の肩に顔を埋めている加州くんの頭をよしよしと撫でながら、ごめんね?と苦笑いする。
「それなら…俺主と万屋行く」
「えぇー…今日行ったばっかりなんだけど。爪紅気に入らなかった?」
「それとこれとは別なの!嬉しかったし凄く気に入ったけど…主ともっと二人きりでいたいし。主とでーとしたい…ねぇ、俺と二人じゃ駄目?わがまま言わないし…万屋じゃなくてもいいから…」
「……」
そんな事をお願いされたら嫌だなんて言えないじゃないか。しかし出陣した彼らを待たず、万屋で遊び呆けてましたなんて言ったら審神者としてどうなんだと考える。私がもしも刀剣男士の立場なら、怒り狂うのではないだろうか…
「分かった、それなら…私と一緒に内番やろう」
「はっ…?」
「デートなら今度、必ず付き合うから…ただ今日は私が初めて出陣を命令した日でもあるし。信じているからこそ彼等の帰りを待っていたいんだ…」
「主…」
「勿論、加州くんも私の大切な刀である事は変わりないから…加州くんが出陣したら本丸で待っているつもりだよ?」
だから今日は待って欲しい、忙しくない時に必ず加州くんへ声を掛けるから…そう彼に言う。口を閉ざす加州くんはそっと私から離れて行く、私はゆっくりと振り返れば少し寂しそうに頷き笑った。
「分かった。それじゃあ…今度、俺とデートしてね?」
「いいよ、万屋で好きなモノ買おうか…わがままをなんでも聞いてあげるよ」
「じゃあ…内番、一緒に付き合って?」
あぁそれは一緒にするのね…と考えて頷き笑った。
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「うーん!はぁ…やっぱり畑仕事っていいわ。美味しい野菜を育てたり出来るし。花壇も作りたいな…中庭にあったら綺麗じゃないかな?」
「……主って外とか気にしないタイプ?」
はしゃぐ私に爪紅を気にする加州くんが苦笑いしていた