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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第1章 第一章


「あ、主…?」
「はい、なんでしょう?」
「いえ、あの…この手は一体?」

なでなでと撫で続けている私の手のひらを戸惑うように聞く長谷部さんは、ピシリと身体が硬直していた。そんなに緊張しなくても…妙な空気が私と長谷部さんを包む。私は苦笑いでゆっくり彼の頭から手を退かせた。

「ごめんなさい…長谷部さんも愛されたいと願っていたように思えたので。頭を撫でてしまいました…あぁ。いけなかったでしょうか?」
「っっっ!!」

ブワッ!と満開の桜の花びらが目の前で吹き荒れる。えっ…なにこれ。とても嬉しいという表現が見える、私の目が可笑しくなったのだろうか。けれど長谷部さんは口元を手のひらで隠して表情が伺えない、しかし耳まで真っ赤にしており悶えているように見えた。堅物そうに見えて、可愛らしい一面を見た私は瞬きさせて、またよしよしと頭を撫でていた「色々とありがとうございます」という言葉を添えてだ。

「っ!あ、ありがたき幸せ…」

小刻みに震える長谷部さんの頭を撫でながら、審神者の仕事はなにをすればいいのか訪ねる。タブレットのように見えない画面をタップすれば、刀剣男士達の体調や体力、持ち物など全て見れる事が出来るのである。いやはや未来って凄いなと関心しながらも話しを続ける。あっ…長谷部さんだけ桜が乱舞している。気持ちが高ぶるとこうなるのかな?なんてチラリと彼を見上げれば、恥ずかしそうに視線を泳がせて丁寧に説明してくれた。主に書類作成など座って作業する事が多い事。後は審神者会議に参加したり、演練などをする場合は刀剣男士達と一緒に行動を共にする。鍛刀や刀装などは彼等に任せるとして、蘇らせるのは私の仕事らしい。手入れも私がしないと駄目なようで打粉で優しくポンポンすればいいようだ。私じゃなくても?と聞いて見たが、霊力がないと良くならないと長谷部さんは言う。刀剣男士達に命じれば内番や遠征、出陣などもして貰えるという訳だ。

「私…霊力、ありますかね?」
「勿論…あるでしょうね。素人という主がこの本丸に来て俺達全てに霊力を注いでいるようなモノですし、元主よりも霊力は強く思います。それに、とても心地ぃ…あっ、いや!申し訳ありません!先程の言葉の綾というモノでして!」

わたわたと吹き荒れている桜を視界に、挙動不審な行動で両手を上下にぶんぶん振り恥ずかしさを噛み締めているように見えた。
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