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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第1章 第一章


「ありがとうございます、長谷部さん…」
「いいえ、これしきのことで…あぁ。ですが我々の刀は良く切れますので余り無体なさらないように…」

手馴れたように手のひらを処置して貰い、包帯を巻かれる。ピリピリとした痛みはあるも手先が器用な長谷部さんは丁寧に素早く治療して行った。私は包帯を巻かれた手のひらを見下ろし、グーパーグーパーと何回が繰り返す。痛みは残るが動かせるし大丈夫だろうと考えた。

「あの…色々とお見苦しい姿をお見せ致しまして、申し訳ありませんでした」
「頭を上げて下さい主。先程の無礼はこちらにありますので、貴女は間違っておりませんよ…」
「………こういう事を聞くのはきっと良くないと思うんですが、少々お聞きしても宜しいでしょうか?」

どうぞ、なんなりとお聞きになって下さい。そう優しげに目を細められた長谷部さんを見上げて、いち兄と呼ばれる男性が言った言葉を聞いて見た。弟達が破壊される、私にしか治せないのだという事だ。後は刀解という言葉の意味を…私はここに来て間も無い。全く意味が分からなかった。とても素人なのだと隠していてもその内バレるなら、自分で素直に伝えてしまおうと思ったのだ。

「それはまた…ここを任せられた時は大変でしたね。この本丸は一癖二癖のある刀剣男士が多いですし…それに」
「それに?なんですか…?」
「いえ、この本丸は愛されたいと望むモノが多いのです。主が友人だと思っていた元主はとても仕事の出来る方でした、いい意味でも悪い意味でも…俺達の事を物だと判断出来る行動力があった。とても素晴らしいと思う反面、とても周りは恐怖しましてね。破壊された刀は元には戻らない、けれど元の主は折れてしまったモノは仕方が無い。また代わりを作ればいいのだと笑って伝えて来ました。目の前で破壊された刀を、守り切れなかった一期一振は自分自身を強く責め…酷く心を病んでしまったという訳です。ですから周りの刀剣男士達は元主に逆らう事も出来ず、新しく引き継いでくれた主である貴女を見定めるような真似を致しました。怖い想いをさせて申し訳ありません…」

頭を下げた長谷部さんを見下ろして、私はこんな本丸でやっていけるのだろうかと考えた。愛されたいと望む刀…私に出来る事?過保護になれば愛されると実感出来るのではないだろうか。私が彼等の母になる。そして私は先ず長谷部さんの頭をよしよしと撫でた。
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