第5章 第五章
「ヘイあるじさん!俺と竜宮城へ行ってみない?行き方わかんないけど!」
「あぁ、浦島さんおはようございます。竜宮城は是非とも行って見たいですね?」
デートの口説き文句見たいなセリフに笑ってしまい、軽いノリで返せば目を見開いた彼は口を大きく開けて笑ってくれた。先ほどあった事を話せば、浦島さんは目をキラキラさせて見えて私に伝えて来る。
「なら俺はあるじさんの事姉ちゃんって呼びたい!」
「わぁ、嬉しいです…私も浦島さん見たいな元気で可愛らしい弟が欲しいですね」
「それなら主、俺と婚約でもするか?」
「!?…なっ、なに言ってるんですか、もう!蜂須賀さんの冗談は笑えませんよ?」
「冗談に思えるかな…俺は偽ったり嘘が嫌いでね?」
なぜだろう。さっきまでのほのぼのとした空気が変わったような気がする。間違いでなければ口説かれているのだろうか…私の視線は泳ぎ浦島さんに助けを求めて見るが、気付いておらずニコニコと笑っている。寧ろとても乗り気である。
「結婚すればあるじさんの事、義理で姉ちゃんって呼べるかな?」
「直ぐにでも呼ばせてあげるよ、さぁ…主往こうか」
「いやいや、どこに!?というか妹が欲しかったんじゃないんですか!?」
「妹よりも、妻が欲しくなったな…浦島にも呼んで貰いたいと主も言っていただろう?」
言いました!言いましたけども!こんな展開は誰が予想出来ようか!蜂須賀さんは腰に手を回して来て、一体なにがどうしてこうなったのか良く分からなくなった。しかし私の軽率?なのかは分からないが、その発言によって今の状態にあるならば少し前の私をぶん殴ってやりたくもなった。誰か助けてくれ、私じゃ止められないぞ。そう考えていた時三人目の虎徹さんが現れて愉快そうに笑った。
「主、俺の事を長曽祢兄ちゃんとでも呼ぶか?」
「……贋作の名を口にすれば主が汚れる」
空気が益々悪くなった。しかし話しは逸れたようだ。馴れ馴れしく蜂須賀さんに構う長曽祢さんに敵意をむき出しで舌打ちする。そのまま蜂須賀さんは私から離れて行き「主、贋作が邪魔をした、また後で話しをしよう」と耳元で囁かれていなくなってしまった。オロオロする私に浦島さんは笑顔でいう。
「蜂須賀兄ちゃんは長曽祢兄ちゃんのこと嫌ってるけど、正直贋作がどうとかどうでもいいよね!それじゃあ、あるじさん!俺は蜂須賀兄ちゃんの所に行って来るね!」