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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第4章 第四章


な ぜ 貴方 が い る … と大きく叫んでしまいたかった。しかしもう簡単な事では驚かなくなってしまった私の図太い精神が、なんとか思い止めてくれる。小狐丸さんはぽふぽふと布団を撫でてから誘うように手招きを行う。妖艶で美しく、遊女のような雰囲気で紅く鋭い瞳が細められ微笑んだ。

「さぁ…ぬしさま、この小狐と踊りましょう?」
「うーん…約束を破ったつもりはないんですけど、忘れてしまったのは確かです。ごめんなさい…」
「あぁ、やはりそのようじゃな…まぁ良い。お約束を忘れてしまわれたと仰るのであれば、今宵私との共寝を所望致しまする…」
「………」

oh…今度こそ、貞操の危機じゃないか?と表情が引きつる。ごろりと布団に横たわる小狐丸さんはぎゅっと枕を抱き締めて熱視線で私を見上げて来た。白髪が乱れてとても綺麗だと思えてしまう、それ程にまで色っぽいのである。

「ぬしさま…」
「……分かりました。抱いてあげます…」
「!…まさかぬしさまがこの小狐を抱くと仰りまするか」
「あら?私じゃ不満です?」
「いいえ、ぬしさまに抱いて頂けるとは光栄の至りに存じます。不馴れな身で恐縮では御座いまするが、この小狐めの身体をぬしさまのお望みのままになさって下さいませ…」
「本当に、いいの?」

私が近付くにつれて、するすると厚い胸板を見せ衣を脱いで行く彼を見下ろすとそっと布団に潜り込む。温かい人肌の体温ととてもいい匂いがした。するりと彼の逞しい腕が腰に回り優しく抱き締められる、見上げれば艶めかしく微笑む小狐丸さんがいて、紅い瞳がじっと私を見下ろして覗かせていた。まるで恋人を想う戯れのようで、甘くドロドロとした空気が漂う。私はそっと彼を抱き締め返した。心臓の音が近くドクドクと少し速く思える、緊張しているのだろうかと安心させるように髪を撫でて小狐丸さんの名を呼ぶ。するとピクリと反応し熱っぽい視線で「ぬしさま…?」と愛らしい声を出した。

「抱くという言葉は他の意味合いをもつ事を知っていますかな?」
「はい…?」
「今日は、添い寝をお願いします…」
「…ぬしさまは私を謀るおつもりか?」
「まさか、私は小狐丸さんの事を気に入っています。だから寝室からは追い出さず、こうして(共寝)をしているんですよ?」
「…酷いお人ですね。この小狐めの想いを弄ぶとは…」

悲しげな表情を浮かべた彼に抱き締める力を込めた。
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