第1章 第一章
「そ、そんなの知るかっ!八つ当たりも甚だしいわ!確かに私とあの女は知り合いだけど、文句をいうなら彼女に面と向かって言いなさいよ!何で私が来て早々殺気は向けられるは、刀を振り落とされるは、いきなり罵られるは…ふざけんじゃないわよ!」
「………」
「大体ね!私だって審神者になるつもりはこれっぽっちもなかったわよ!普通の家系を持って、大好きな人と幸せになれる…そんな平凡な生活で良かったんだ。なのにさっ!友人だと思ってた元女審神者に彼氏寝盗られるは!ここの本丸を全部私に押し付けて結婚するなんて!見てよ、これ!招待状も届いてるの!馬鹿にしてんのかって言いたくなるでしょう!?」
私は片手でメール画面を開き、招待状を見せる。そこには「必ず来てね♡」と書かれており喧嘩腰なのは見て取れた。先ほどまでの刀剣男士達の殺気はなくなるも、哀れむ視線と同情の視線が混ざり合い、なんとも言えない空気になってしまったが私の怒りは治まらない。寧ろ圧倒している雰囲気をまた転がされて妙な空気にさせないと必死だった。
「あぁ…じゃあなんで、審神者になったの?かっこいい僕等と恋仲になって見返したいとか?」
苦笑いで私を見る眼帯のイケメンに私は左右に首を振る。それにしても今自分でカッコイイって言ったな、この男…まぁ確かにカッコイイけれども。いや、それよりもだ。
「違いますっ!ただ私は見返したいの!あの女と彼氏をだよ!あんな最低な男ではなく、男審神者で優しくて私を心から愛してくれるような人と結婚したいんだよ!」
ただ幸せになりたい、それを強く訴えた。ぁああ…手のひらが痛い。じくじくと熱い痛みが襲い始めた。手のひらをゆっくりと一本ずつ離して行く。あぁ…ぱっくり割れてしまっている。これは綺麗に治るのだろうか、結構なグロさに白目を向きたくなった。それ以上に事の重大さを知る水色の髪をした男性は真っ青である、一応今日から主になる女に刀を向けてしまい…あまつさえ、脅すだけのつもりが、自分で握り締めて怪我を負わせたのだ。
「あぁー…大丈夫ですよ。治ると思います…いや多分、治ると思いたいです。いやいや…治して見せますとも」
「誠に、申し訳ありませぬ…」
「待ってくれ、大将!いち兄は俺っち達の事を思ってだな!」
「そう!だからお願い!あるじさん!いち兄を刀解しないで!」