第2章 第二章
遠征組の刀をぽんぽんしながら、一人だけ足りない事に気が付いた。あと一人は誰だとスマホのように透明な画面をスワイプさせる。そこには同田貫正国という名前があり、一番中傷で体調的にもすこぶる悪く赤く染まっていた。という訳で、私の元で働いてくれる式神のような可愛らしく小さな衛生兵さんの力を借りて…後は任せた。といい手入れ部屋を後にした。
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同田貫さんの部屋へ行き、勢いよくスパンと襖を開いた。ぎょっとした様子で私を見上げる同田貫さんにズカズカと部屋へ入り、押し倒すと胸板に触れてジャージに手を掛けた。
「今すぐ服を脱げ…これは主である私の命令です」
「はっ!?おい、あんた!ふざけんな!」
「あんたじゃなくて、主…でしょう?ジャージ血で汚れますよ、折角お風呂に入ったのに…」
唇に人差し指を添えられ、ひ弱な女に押し倒された同田貫さんはブワッと顔全体が赤くなった。見下ろす私を退かそうと思い暴れるが、優しい彼は本気で嫌がろうとはせずに酷く狼狽えて見えた。可愛い…そう微笑みを濃くしそっと唇から人差し指を離す。
「俺は前の主も嫌いだが、勝手に来たあんたにとやかく言われる筋合いはねぇてのっ…」
「確かに急な事で私が来たのは申し訳ないですけど、その傷…中傷でしょう?ど素人の私にもバレないとでも思いました?」
私にしか見えない画面には全ての刀剣男士達の体調管理も見えていたりする。私は同田貫さんの鍛え抜かれた肌をなぞる、ビクッと大きく肩を揺らした彼は恥ずかしそうに顔を背けた。
「同田貫さん…貴方が私をどう思おうか勝手です。ですが私は年老いても、貴方の後ろで見続けていたい…」
「はっ…?」
「ふふっ、言いたい事は分かりませんか?まぁ…結論的にこんなどうでもいい意地、なのかは分かりませんが…張り合いで死ぬなと言っているんです、同田貫さん…貴方はこんな所で死んでいい器じゃないわ。だから今すぐ怪我を治させて…治った暁には出陣へ赴き大暴れさせてあげる」
ねぇ、いい話しだと思わない?そう目を細める私に彼はゾクリとする表情で笑った。交渉成立だというようにジャージのファスナーに触れて下へ下げる。そんな時だ、襖を閉め忘れており完全に2人の世界に入っていた私達は忘れていた、廊下には2人の刀剣男士がいたのである。
「な、鯰尾藤四郎くんと…骨喰藤四郎くん…」
「ご、ごめんね…みっ、見てないから!」