第2章 第二章
※R15に行くか…いかないかくらいです。ご注意下さい。
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「!…ぬしさま、お気づきだったのですね」
襖の外から礼儀正しく入って来たのは、狐を思わせる小狐丸という刀の一振り。手入れ部屋にいる私を知っていたのかは分からないが、深々と頭を下げた小狐丸は赤い瞳を揺らめかせて目を細めた。
「ぬしさまと語らいとうございました…」
「…どうぞ?」
獣耳を思わせるような白髪が流れて、触れて見たいという衝動に駆られるがぐっと我慢する。目の前に座布団がおいており、座ってと促すと穏やかな微笑みと共に私へ近付き腰掛けた。
「それで、私に話しというのは何でしょう?」
「…ぬしさまは、不用心ですね」
「はっ?…えっ、ちょっ!?」
覆い被さるように押し倒された私は大きく目を見開いた。さらりと長い白髪が頬に当たってくすぐったい、小狐丸はぺろりと小さく舌なめずりし、野生の獣が肉を食らう前のそれに見えた。紅い瞳がギラギラと欲が孕み、違う意味で食われそうだと内心冷や汗をかいたが冷静に悟られないように話し始めた。
「小狐丸さん…私を食べても美味しくはないですよ?」
「その事は小狐が決めます。ぬしさまは私の下で感じて下されば…」
それでいいと私の首筋に顔を埋めて来た。それで私は思う、彼は案外優しいのではないかと…無理矢理するのは簡単だ。力では女は男に敵わない、両手首を封じてしまえば抵抗出来ないからである。しかし小狐丸さんは私に触れて来ず、私の匂いを嗅いでうっとりと頬を高潮させていた。
「小狐丸さん…」
「はぁ、ぬしさまっ…」
「小狐丸さんの髪はとても気持ちいいですね。モフモフしてサラサラしています…」
「っ、ぬしさま…」
首筋に顔を埋めている小狐丸さんをよそに、ワシャワシャと犬と戯れるような手付きで頭を撫でた。くすぐったいのかピクンと体が震えており、もっと可愛がってあげたくなってしまう。
「ぁ、ぬし、さまっ…ぉ、やめっ…くださ…んぁっ…」
「ぬしさまを食べようとした罰です。皆さんが手入れにこちらへ来るまで…私の戯れに付き合って貰いますよ?」
にっこりと笑う私に、くすぐったそうに目を潤ませた小狐丸さんが一瞬目を見開き、直ぐにはいと色っぽい声で呟いた。相当構って貰えたのが嬉しかったようで、全体重が私にのしかかって来る勢いである。重い…それよりもう少し声を抑えて、変な噂が立つからね