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【HQ】君に好きだと言えたなら

第5章 こぼれ落ちる(潜尚保×白布姉同僚)


 それから白布さんと牛島君は仲良くやってるみたいで、白布さんの口から牛島君の話を聞けるのは楽しかった。でも、それと同じ位羨ましくて堪らなかった。
 そんな気持ちを抱えたまま迎えたお盆。お盆くらいたまには帰ってきなさいという母の言葉に折れ、久しぶりに実家に帰ると、リビングに何故か尚保がいた。


「…こんにちは。」
「なんでいんの?」


 久しぶりに会った尚保は更に背が伸びていた。しかもまたイケメンになってる。最後に尚保に会ったのは、尚保が中学生の時だ。高校生にもなるとこんなにも変わるのか。


「あら、おかえり。早かったわね。」
「ねえ、なんで尚保いんの!?」
「山菜そば食べる?」
「食べるけど…だからなんで尚保いんのって!」
「ゆりちゃんが帰ってくるって聞いたから…。」


 私が帰省してくるって聞いたからなんな訳?不覚にもドキッとしてしまった自分を殴ってやりたい。背は私より高いけど、尚保は高校生。ドキドキするのもアウトだから。女のヤッカミを買って叩かれるのは構わないけど、未成年者に手を出して逮捕は流石に嫌だから。
 お母さんは山菜そばを尚保の席の隣に置いた。が、尚保の隣に座るのが嫌で、その山菜そばを持って向かいの席に腰を下ろした。ズルズルとそばをすする私をただ見つめる尚保。視線が痛い。


「何?食べずらいんだけど。」
「ゆりちゃん彼氏いるの?」
「いるに決まってんじゃん。私に彼氏がいない時期が少しでもあった?」
「…無かった。」
「でしょ?私モテるんだから。」
「そう言うなら早く結婚して孫の顔でも見せてちょうだいよ。」


 出た出た。最近、お母さんはもういい歳なんだからそろそろ結婚しなさいだ、いい人はいるのかと口うるさい。尚保に会いたくないっていうのも帰りたくない理由の一つでもあったけど、お母さんにこの話をされるのも嫌だったからだ。


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