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【HQ】君に好きだと言えたなら

第5章 こぼれ落ちる(潜尚保×白布姉同僚)


「結婚するならキャリアがあって、年収一千万越えるような人じゃないと嫌なの。」
「またそんな高望みして。現実見なさいよ。」
「高望みじゃありませーん。」
「昔はスポーツ出来る人がいいって…。」
「それ、私が中学生の時の話でしょ?いくらスポーツ出来たってお金持ちじゃないと意味無いし。スポーツが生活の何の足しになんの?」


 そう言うと尚保はまた黙り。


「尚保君ね、今戸美のバレー部のエースなのよ。二年生なのに凄いでしょ?」
「戸美ってバレーの強豪校じゃん。凄いじゃん尚保。」


 私がそういうと、少しだけ嬉しそうに尚保が笑ったような気がした。相変わらず、読みずらい表情だな。でも、そこがまた…いや無し。今の無し。
 尚保の視線を痛いくらいに感じながらも山菜そばを食べ終え、そのままその場に横になった。


「ちょっと、尚保君いるんだからやめなさいよ。」
「久しぶりに帰ってきたんだからゆっくりさせてよ。」
「そんなんだからいつまで経っても結婚出来ないのよ。」
「お母さんしつこい!」


 台所でグチグチと小言を漏らすお母さんは夕食の買い出しに出掛けてくるから二人共留守番よろしくね、なんて言って出て行こうとした。ちょっと待って、尚保と二人きりとか無理。


「私が行くよ!」
「あら珍しい。じゃあお願いね。変に高い物ばっかり買ってこないでよ?」
「俺も手伝います。」
「は?いいって。」
「荷物持ちいた方がいいでしょ?」
「じゃあ尚保君もお願いね。」


 行くと言った手前、やっぱ行かないなんて言い出せる訳もなく…というか、そう言ったらまたグチグチ五月蝿くなりそうだから私は諦めて尚保と共に近所のスーパーへと向かった。
 こうやって隣を歩けば恋人同士に見えたりするのかな、なんて思ったけど、年の差は七つ。他人が見たって恋人には見えない。誰が見たって姉弟にしか見えない。


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