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【HQ】君に好きだと言えたなら

第5章 こぼれ落ちる(潜尚保×白布姉同僚)


 昔から男に困る事は無かった。彼氏は取っかえひっかえで、彼氏がいない時期っていうのもなくて、カッコよければ取り敢えずOK。飽きたら次に乗り換える。そんな感じ。それをよく思わない女子からなんやかんや言われはしてたけど、女子からの評価なんてどうでもよかった。ちょっと綺麗だからって、なんて僻みも負け惜しみにしか聞こえない。
 そんな私が珍しく少しだけ本気になった彼氏がいたんだけど、私の我儘に疲れたと言って振られてしまった。私みたいないい女振るなんて、ほんと見る目ない。そう思いながらも悔しくて堪らなかったのを今でも覚えてる。珍しく彼氏に振られたのがショックで泣きながら家路に着いた時、隣の家に住む幼馴染み…とは言っても歳は七つも離れていて、弟みたいな存在の小学生のなおくんにハンカチを差し出されたのは衝撃的な事件だった。普段から感情のわかりずらいなおくんの心配そうな表情。そんななおくんがなんだか愛おしく思えてしまった私はショタコンなのだろうか。今までなんとも思ってなかったなおくんの事を不覚にもいいな、なんて思ってしまった。でも、なおくんは小学生で私は高校生。失恋して傷付いてるからといって手を出して言い訳がない。そう思って自分の気持ちに気付かないフリをした。

 そして短大生になってから、割と本気になれる彼氏が出来た。でも、その年上の彼氏には本命の彼女がいた。これがまた冴えない女で、絶対私の方がいい女な筈なのに、またしても振られてしまった。そして泣きながら家に帰ると、中学生になってぐんと身長が伸びて男らしくなった尚保にあの日みたいにハンカチを渡された。その時、ああやっぱり私尚保の事好きなのかもしれない。そう思ってしまった。でも尚保はダメ。私は将来、年収が良くてキャリアがあって、イケメンな男と結婚する。そして専業主婦になって、誰からも羨ましがられるような生活を手に入れるんだから。だから尚保はダメ。まあ、顔はイケメンだけど、将来有望かどうかはわかんないし。てか、七つも年下の彼氏とか恥ずかしくて誰にも紹介出来ない。それ以前に犯罪だわ。

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