第4章 少しでも君の理想に近付きたくて、(潜尚保×白布姉同僚)
そして俺が中学2年生、ゆりちゃんが短大生の時、またあの日みたいに自分の家の前で泣くゆりちゃんを見かけた。そんなゆりちゃんになんと声を掛けるべきなのか分からなかった俺は、あの日と同じくハンカチを渡した。
俺だったら絶対ゆりちゃんの事泣かしたりなんかしないよ。ゆりちゃんの理想の男になれるよう頑張るから、もう少しだけ待っててね。
そう思っていたのに、俺よりもうんと先に成人式を迎えたゆりちゃんが少し遠い存在に感じて、それが少し寂しかった。いつの間にか、なおくんと呼んでくれていたゆりちゃんは俺の事を尚保と呼ぶようになった。家は隣同士。誰よりも近くにいる筈のゆりちゃんとの距離は、歳を重ねる毎に徐々に離れていってしまった。