第12章 飴と鞭
『あら、ヤキモチ?』
そういってザップの頬に手を添わし
からかう様に言う名前
いつもの調子の名前の手をグッと掴み
「そうだよ」低く呟けば
『アンタだって四六時中他の女とヤリまくってるでしょ』
ザップに掴まれた手を振り払い
『その点、私はセックスはしてないわ』
そう言うと、トントンとザップのくちびるを叩き
キスまで、と告げる。
「え、だってお前昨日もホテルからそのまま来たんじゃねぇのかよ」
『そうよ?』
『何で、こんなカップルの痴話喧嘩みたいな話
アンタとしないといけないのよ。』
グイグイとビールを煽ると、バカらしいと鼻をならして笑う
「ホテル行って何もしねぇなんてねぇだろ」
『ドMなのよ、彼。
ブタが女王さまに触れるわけ無いじゃない』
足を組み替えソファの背もたれに深くもたれると
小さく溜息を吐いた
『誰にも言いたくなかったのよ』
そう言いながら、ビールを飲む名前の姿に
女王さまの姿を想像すると
「ボンテージ姿の名前もたまんねぇな」
ニヤニヤしながらザップが舐め回す様に見る
『あらそう?
なんならアンタも1から教育し直してあげるわよ』
色っぽく囁く名前の腰に手を回し
そっと顔を近づける
「悪くねぇな」唇がつくかつかないかの距離で
呟くと
タイミング良くなるインターホンに
目を見開き、勢い良く立ち上がり
大きな音を立てて大股で玄関へ向かうザップ
「ーーーーー糞陰毛大王っ
オメェわざとやってんだろコラ」
ザップの声とともにレオの戸惑った声が聞こえてきた。
クスリと名前は笑うと
瓶の残りを飲み干した。