第12章 飴と鞭
報告書にペンを走らせている
名前のデスクに
コーヒーカップを持ったスティーブンが近寄る
コトリと、カップを置くと
「名前、ありがとう」
そう言いながら、USBを胸ポケットから
取り出す
「大きく一歩前進だよ」
『これが私の仕事ですから』
微笑みながら答える名前に
「今日は定時で上がってくれて構わないよ」
疲れただろ?そう言いポンと頭に手を乗せると
自分のデスクへと戻っていく。
名前がスティーブンさんの家に
居候して2週間
見るからに2人の距離が近くなったように感じる
それは、ザップも感じている事で
不機嫌そうにソファに腰掛け
貧乏ゆすりをしている
「ザップさん煩いですよ、足」
「だあってろ、陰毛童貞」
いつも以上に荒れているザップに
チェインも冷たい目を向けるだけで
相手にはしない。