第11章 暴走する偏執
彼女が現場に着いた頃には
アリギュラの暴走は収まっており
ハマーと、レオナルドが怪我をして
運ばれたという病院へ休む暇もなく
急いで向かう。
病室の前に着くと
「‥‥ちょっとデルドロ‼︎
出てきなさいよこの唐変木
ハマーの顔を守るのがアンタの仕事でしょうが」
「やかましいわクソ年増
俺は止めたっつーの
こいつが勝手にやったっつーの」
中指を立てて声を荒げるKKの姿が見え
ハマーのゆるい笑い声と
癖っ毛の後ろ姿にほっと名前は胸をなでおろした。
『遅くなってごめんね』
ドアをくぐりながら皆に声をかける
「名前君仕事だったのにすまない」
くしゃくしゃとクラウスの大きな手が頭を撫でる
『ありがとうございます』
それよりも、と名前はレオナルドに顔を向けると
ガツガツとピンヒールを鳴らし大股で近づく
「え、、名前さん?」
レオナルドは〝治療〟の事を考え
こんな所で、なんて言いながらぎゅっと目を瞑る
ゴツン
鈍い音と共に
スティーブンさんやクラウスさんの
制止する声
ザップさんの笑い声が聞こえる
頭に激痛が走り目を見開くと
眉間に皺を寄せ
不機嫌そうに振り上げた拳をゆっくりと下げる
名前の姿が映った。
「こら、名前
これでも少年は後頭部を5針縫っているんだよ」
そういう、スティーブンさんの言葉を
『どうせ後で治してあげるんだからいいでしょ』
とんでもない理屈で流す。
『レオはいつもいつも巻き込まれすぎ』
そういうと、本当に安心したという顔をする名前に
僕のせいでは無いじゃないですかと言う言葉を飲み込み
「ごめんなさい」レオはそっと呟いた。
「名前!久しぶりだね」
『ハマー!デルドロも久しぶり‥‥』
そこには、顔から両腕まで包帯でぐるぐる巻きになった
ハマーが呑気な声をかけてくる。
中指を立てて白目をむき怒りをあらわにしたKKがぐっと
名前の腕を引っ張っる
『え、KK?なに?』