第11章 暴走する偏執
シャワーを浴び、
綺麗に畳まれたシルクのバスローブに腕を通すと
床に落ちている下着を拾い上げ
身につけていく
「もう行くのかい?」
後ろからそっと腕を回してくる男性に
『ごめんなさい、仕事が立て込んでて』
触れる様なキスをし回された腕を
しなやかに抜ける
「次はいつ会えるかな?」
さっきから疑問ばっかりね、名前はくすくす笑うと
『貴方も忙しいでしょ?
また、こっちに来る時に連絡して』
そう言いながら鏡の前でメイクをする。
またね、と唇を合わせ部屋の扉を閉めた。
いつもより少し騒がしいHLの街中を
ピンヒールを響かせ風をきる様に歩く。
本部へのエレベーターにのり
ポケットに手を入れUSBの形を確かめる。
『大漁大漁〜』
今回は思っても見ない様な
大きな情報を手に入れる事ができた
少し浮き足立ちながら本部のドアを開ける
『ただいまーーーって‥‥‥』
ドアを開けると静かな事務所には誰もおらず
向こうの部屋からギルベルトさんが顔を覗かせる
「名前さんお疲れ様です。」
「連絡はありませんでしたか?」そう尋ねられ
携帯に目をやると
何件もの不在通知が入っている
『ごめんなさい、さっきまで
ターゲットと一緒にいた物だから』
そういいポケットのUSBをヒラリと見せる
『皆はどうしたの?』
ギルベルトさんにある程度の事を聞くと
名前は急いで彼等の元へと向かうのだった。