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【血界戦線】SOAK IN BLOOD

第10章 画面向こうの女はむせ返るほど甘い愛を囁いた




玄関に入り静かな室内を見渡す


シャワーを浴び
こうゆう時の為に買っておいた、
少し値のはる寝酒を飲む為に
グラスと琥珀色の液体の入った上品な瓶をもち
寝室へと向かう。


彼女の部屋の扉の前にたち
ノックしようとする自分の手を見つめ
ぎゅっと握りしめると、その手を下ろし
扉の前から離れる



部屋へ向かう途中でシアタールームから
小さな音が漏れていた。

少し開いた扉の隙間からは間接照明の
柔らかな光が覗く


『スティーブンさん?』

僅かな音に気付いたのだろう
部屋の中から、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。


扉を開けると、シルクの滑らかな
部屋着を身にまとい
お気に入りのクッションを抱えながら
ローソファーに座っている


『おかえりなさい』


「ーーーーただいま」



「また、懐かしいものを見ているね」


一時停止されたスクリーンには、一昔前の人気女優が
映し出されている


『今日はベタベタの恋愛ものが見たい気分だったんで』


良かったら一緒に見ませんか?と、彼女は
自分の隣をポンポンと叩く


きっと鋭い彼女には、1つ屋根の下で起こった事など
手に取るように分かっているのかもしれない

どんな顔をしたらいいか分からない気持ちと共に
いつもより柔らかな笑顔にすがりたくもなる


小さく深呼吸して
「たまには、ベタベタに甘いやつも良いかもしれないな」

『そうでしょ?』

隣に腰掛けるとまた画面が動き出す


スクリーンにアップで映る女優が
泣きながら愛しい人への愛を囁いている


ことり、と肩に重みがかかる



「名前も甘えたくなったのかい?」



『ふふ、そうかもしれません』



そう言って甘く囁く彼女の方を向くと
柔らかな髪から香る甘い香りに惹きつけられるように
彼女の額にキスを落とす


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