第10章 画面向こうの女はむせ返るほど甘い愛を囁いた
窓辺に置かれた椅子に腰掛け
読みかけの小説に目を通す
半分ほど読み進んだところで
ゾクリと寒気が走り、本から目を離すと
本を読む前の騒がしい声はいつの間にか無くなっていた。
窓から外を眺めると、
丁度家から出て行くスティーブンの背中がみえた。
名前はシャワーを浴びようと部屋を出ると
少し歩いた所に見覚えのある
全身黒ずくめの長身な男が目に入る
『あら、久しぶりね』
スティーブン個人の極秘裏の施設部隊だ。
スティーブンと共に情報を探る事もある名前は
何度か彼らに会ったことがあり
勿論の事向こうも名前の事を良く知っている
『スティーブンは?』
「外の空気を吸いに出られました」
『あらそう』
窓から少し見えた彼の背中を思いながら
『お疲れ様』
そういうとくるりと彼らに背を向けた。