第10章 画面向こうの女はむせ返るほど甘い愛を囁いた
朝掃除機の音で目をさまし
リビングへと向かうと
いつもの様に頭にタオルを巻きながら
掃除をしているヴェデットの姿と
新聞を読みながらコーヒーを飲むスティーブン
がおはようと声をかけてくる。
『おはようございます』
自分もコーヒーを飲もうと、キッチンへ向かうと
「今日はホームパーティの日でしたわね」
ヴェデットが旦那様とスティーブンに問いかける。
「そうだよ
あっちの仕込みはどんな塩梅だい?」
「全て済んでおりますわよ」
「素晴らしい
ヴェデット特製ローストビーフが無いと始まらないからな」
という声に、目を輝かして
名前が食いつく
『え、私も食べてみたいわ!
ローストビーフ大好きなの♡』
ヴェデットの料理は本当になんでも美味しいから
という名前にヴェデットは嬉しそうな顔をする
RiRiRiRi
「お いいよ僕が出る」
続けて鳴り響く電話に
ふぅと溜息をつくスティーブンを
ヴェデットが驚いたように見つめている
「‥‥‥何だい?」
「ふふ、いえ
楽しそうでよかったですわ
私はお仕事をよく存じ上げないですけれど
旦那様はいつも張り詰めてらっしゃる時が多かったですから」
ヴェデットの言葉にスティーブンは驚いたように目を開く
「・・・・・・そうなのかい?」
「?」
「いや、会社ではよく何を考えているのか
分からないなんて言われるもんでね
少し面食らった、ごめんごめん」
そう言って少し照れ臭そうにするスティーブンに
ヴェデットと名前は目を合わせて微笑む
「名前様はきっと、もっと色々な旦那様を知っているんでしょうね」
「こらこら、ただの会社の部下なんだから
そんな事をゆったら名前を困らせてしまうだろ」
「す、すいません」
スティーブンの言葉に、申し訳なさそうに少し頭を
さげるヴェデットをみて
『いいえ困ってなんか無いですよ』
気にしないで、と優しく笑い
『私はもっとスティーブンさんの事知りたいですけど』
ただの部下ですからね〜、とスティーブンに視線をやり
悪戯っぽく笑いかけた