第9章 相互作用のデメリット
そんな彼女の顎を掴み
ふっくらと甘そうな唇に寄せる
彼女の唇がクイッと上がると
頭の後ろに彼女の華奢な腕が回り
かぷりと、耳朶に歯を立てる
『ごめんなさい
私貴方には濡れそうにもないわ』
もっと良い男になってまた誘ってね
そう甘く呟くと小さなリップ音に
カッと耳が熱くなる
耳に当たった柔らかな唇の感触に
初めて女性と交わした口づけのように心臓が
騒がしく跳ね上がる
かっこわりぃ‥‥
そんな自分に言葉を発せずにいると
名前はするりとソファから立ち上がり
『今日は先輩が美味しいお店に連れてってあげよう!』
盛大な先輩風を吹かし
何事もなかったように笑いかけてくる名前に
頬を緩ませながら
「あざーす」
彼女の後に続き夜の街へ向かった。